貴金属

 指輪やネックレスなど貴金属の製品には、その使われている貴金属の品位が印されています。指輪でしたら裏側、ネックレスは留め金の部分、小さなピアスにだってちゃんとに打たれています。K18とかPt900とか、それがメッキでなければ殆ど刻印されているはずです。またそうした刻印と一緒に下図のような国旗の絵が描かれているものを目にするかもしれません。これは財務省造幣局の検定マークです。
K18の認証マーク Pt900の認証マーク コンビ製品の認証マーク

 査定のポイントでも書きましたが、18金というのは、24分の18=75%の金が含まれているということです。それ以外は何が含まれているのかと言うと、銀であったり銅であったり含まれる金属によって色や硬さが若干変わってきます。日本の場合、銀銅割り。欧州では銀割りが一般的で、この色の違いを利用して3色リングなどが作られます。
混合割合
金75%+銅25% 赤味のある金
金75%+銀25% 青味のある金
金75%+銀12.5%、銅12,5% 通常の黄金色
金75%+パラジウム25% ホワイトゴールド
金75%+銅、銅、ニッケル ピンク色
品位 混合割合
Pt900 プラチナ90%+パラジウム7%+コバルト3%
プラチナ90%+パラジウム5%+コバルト5%
プラチナ90%+パラジウム10%
Pt850 プラチナ85%+パラジウム12%+コバルト3%
プラチナ85%+パラジウム10%+コバルト5%
 プラチナの混合割合も上記のとおりです。この中のコバルトに金属アレルギーを起こす人が多い事に注意が必要です。
 メッキ製品の場合も、K18GPとかGF18とか打刻されている場合があります。これはGold Plating、Gold Filledの略でメッキ製品である事をあらわしています。

ダイヤの品質 ダイヤの品質を計る尺度についてご説明いたします。ちょっと専門的になりますが、とにかくこれを書かないと私たちの査定の基準を説明しようがないので、あえて書き加えます。知っているとちょっと偉い気持になれる知識です。

ダイヤの4C
 ダイヤモンドの評価はアメリカのGIA(米国宝石学会)が定めた評価方法がもっとも普及しており、4Cと呼ばれる4項目の品質で表現されます。この4Cの等級が高ければ高いほど高品質で高価な物ということが出来ます。
■ カラット(Carat:重量)

カラットは大きさと思われがちですが、重さの単位です。古代インドの先住民族ドラヴィタ族が重さの基準に使っていたケラシオンという豆がその源で1カラット(1ct)は0.2グラムです。

■ カラー(Color:色の等級)

ダイヤというと無色透明と思いがちですが、確かに最高品質の物は無色透明ですが大抵の物はごく僅かな緑がかった黄色の色調を帯びています。また歯医者さんの機械や削岩機の先っぽにつけられたダイヤは茶褐色です。GIAシステムでは純粋無色のものをDカラーとし、以下E、F、G、H‥‥‥‥Zまで分類評価します。尚、ブルーやピンクなどファンシーカラーについては別扱いです。

 N‥‥‥‥‥‥‥‥Z

無色

ほとんど無色

僅かな黄色

 薄い黄色‥‥‥‥黄色


■ クラリティー(Clarity:透明度の等級)

 透明度と言うより内包物が多いか少ないかの等級です。ダイヤは地中深くで生成する際に、周囲の鉱物を取り込んで成長します。この内包物(インクルージョン)の量、大きさ、位置などを総合的に評価して、GIAシステムでは10倍の拡大で無キズのものをフローレス(FL)とし、肉眼でインクルージョンが見えるIクラスまで11段階に分類されます。

FL IF VVS VS SI I
1 2 1 2 1 2 1 2 3
10倍の拡大で
無キズ
10倍の拡大で
微少な表面の
欠点(IF)
10倍の拡大で
発見困難な微
少の欠点
10倍の拡大で
発見が多少困
難な欠点
10倍の拡大で
発見が容易、肉眼では困難な欠点
肉眼で容易に
発見できる


■ カット(Cut:形と磨きの正確さの等級)

 ダイヤモンドの美しさは中に入っていった光がダイヤ内部で複雑に反射屈折を繰り返し白や虹色の光に分解されて表面から出ることで得られる物です。この為には一般的にラウンドブリリアントカットと呼ばれる58面体カットが正確で、研磨も整っていなければなりません。このカットの正確さについてGIAシステムではエクセレントからプアーまで5段階に分類されます。
項目 EXCELLENT VERY GOOD GOOD FAIR POOR
テーブル径 53-58% 52-63% 50-67% 49-72% <48%、>73%
クラウン角 33-35度 32-36度 30-38度 26-44度 <22度、>45度
ガードル厚 THIN
-SL.THICK
EX.THIN
-SL.THICK
EX.THIN
-VE.THICK
パビリオン深 42-44% 42-45% 41-47%
全体の深 59.2-62.4% 58-63.8% 56.8-65.9% 54-70.1% <53.9%,>70.2%
キューレット NONE
-MEDIUM
NONE
-MEDIUM
NONE
-SL.LARGE
シンメトリー
(対称性)
EX.-V.G EX.-GOOD EX.-GOOD
ポリッシュ
(研磨状態)
EX.-V.G EX.-GOOD EX.-GOOD

目視で観るカット評価の判断基準
テーブル径が狭い テーブル径が広い パビリオンが深い パビリオンが浅い






質屋の歴史700年  鎌倉時代からと言われる質屋の歴史。実はそれ以前の奈良時代に遣唐使が持ち帰ったという説があります。では本当のところ質屋の起源はいつなのでしょう?
 質屋はいつからあったのか、質屋の歴史は、と問うと、「質屋700年」という言葉が帰ってきます、これはもちろん"質"と"七"を掛けた言葉遊びではありますが、貨幣経済が庶民の生活に浸透してきたのが鎌倉時代の中期とすると、まんざら語呂合わせの戯言ではなく。鎌倉時代には「庫倉」、室町時代には「土蔵」と称して動産金融が行われていたことは記録にあります。これが徳川時代になって「質屋」として発展してきたもののようです。さらにその起源は奈良・平安時代の「出挙(すいきょ)の制」に遡り遣唐使が中国から伝えたものだとする意見もあります。

貨幣経済以前は、
 およそ人が農業なり漁業、あるいは簡単な工業、商業においても、それらを糧にして生活をしていく以上、実りの豊かな時期と乏しい時期が出てきます。乏しい時期に食べ物を分け与え、豊かな時に返してもらう。そうすることで、人々も助かりますし、貸した分より少し多く返してもらうことによって利ざやを稼ぐこともできます。こうした制度はなにも貨幣経済になる以前の時代にも、端境期(はざかいき)に人々を救済する意味で宗教団体で始まり、それが制度化するうちに宗教団体の資金源にもなって、これと同じように地方の有力者(地主・豪農)でも行われるようになってきたもののようです。
 これについては洋の東西を問わず、1463年イタリアのペルージャで僧侶バルナバが設立した montes pietatis については初期は無利子であったがやがて経費をまかなうための利子をとることになり、これが教派間の争いともなって、ついに法王レオ10世が「目的が営利でなく、高利でなければ公益質屋であって高利貸しではない。」と判断を下したほどです。(っていうことは高利貸しもあったのか。) 以後法王庁の庇護の下、公益質屋はヨーロッパ大陸に普及していったそうです。

出挙の制 日本に話を戻すと、「出挙」の制は、文武天皇の大宝元年(七〇一年)に制定された大宝令に規定があります。出挙には、財物を貸与するもの、稲粟を貸与するものの二種がありました。 財物出挙に関しては、

@およそ公財物をもって出挙するには証文による、
A利息は60日ごとにとり、八分の一を超えることを得ず、
 また480日を過ぎても一倍を超えることを得ず。
 と定め、(大宝令雑令)稲粟出挙に関しては、
「およそ稲粟をもって出挙するものは一年をもって限りとし、春時に受けて秋冬に報いよ、利は一倍を超えるを得ず」 と定めていました。

 出挙を行うものは官、寺院、富豪等です。稲粟出挙には官、私の別があり、私稲の出挙は私稲利息を得るのを主たる目的とするものですが、官稲の出挙は貧困農家に限って行い、春耕秋収の時機を失わせないための救済制度が本来の目的でした。
 寺院出挙の由来については、奈良朝以来隋唐に留学した僧侶が彼の地での寺庫無尽蔵の制を見て、帰来し伝えたものだとされています。(『公益質屋法要論』)
寺院出挙は、仏教の興隆とともに寺院の費用がかさみ、その財源として出挙の利が広く活用されるに至ったものです。桓武天皇の延暦14年・795年に七大寺出挙が行われ、その利はきわめて大きかったと伝えられています。(『類聚国史』)
 しかし出挙の制も後に至って本来の目的を逸脱し、あるいは富豪に貸し付けて利殖を図り、あるいは無知な農家にみだりに貸し付けて返済の機を失わせ、郷土を逃れて流浪する者随所に現るという弊害が生じ、やがて制度自体自滅の方向に向かったとのことです。では出挙の制は質屋の直接の起源ではないのでしょうか。

 さて本題です。ここからは『中国質屋業史』の該当部分をそのまま引用します。
 出挙は債権確保のため契約によって貸借関係を定めた質制度であって、商行為として動産を質にとって営まれる質業とは異なる。日本における質業は鎌倉時代以降に確立したと見るのが通説であり(『公益質屋法要論』でもこれを肯定している)、質業のことを鎌倉時代には「庫倉」、室町時代どそうどぞうには「土倉」または「土蔵」と称した。「質屋」という名称が用いられるようになったのは徳川時代になってからである。結論として、出挙の制をもって質業の始まりということはできないが、寺院出挙は陪唐の寺庫からヒントを得たものであり、やがて貨幣経済の進展に伴い、鎌倉、室町に至って質業としての庫倉、土倉が出現する先駆をなしたものということができる。

 つまりは、質屋の歴史700年は、まんざら間違った事ではないということです。あとは上の文を読んだ皆さんの解釈にお任せいたします。




重要事項の説明

質契約内容の説明
(質料の利率)
・質札に明記したとおりです。

(質料の計算方法)
・質料は月計算で行います。日歩計算ではありません。
・質料は後払い計算で各取引ごと質札に明記した利率によって
   元金*利率*月数 のように計算します。
・質料以外の金銭は申し受けません。


(流質期限)(所有権の移転)(物的有限責任)
・満3ヶ月の流質期限が経過すると、お客様(質置主)の品物の所有権が質屋に移ります(流質)
・そしてこれを以ってお客様(質置主)との質契約は全て終了し、担保の過不足があっても返還又は請求する事はありません。(物的有限責任)


(返還方法)(最終弁済日)(流質期限の延長)(利上)
・お客様(質置主)は質屋の営業時間内で満3ヶ月の流質期限前であれば、質札と借りた金額(元金)に利息(質料)を加えたものを支払って質入した品物(質物)をいつでも受戻す事が出来ます。流質期限後であっても流質物が処分されずにあれば、流質期限後の利息相当額を加算してその品物を受戻す事が出来ます。(受戻)
・流質期限前はもとより、期限後であっても品物(質物)が処分されずにあれば利息(質料)相当額を支払って質契約の更新が出来ます。(更新)
・返済方式は一括返済。返済方法は持参払い。返済場所は質屋の営業所とします。
・質契約は流質期限の満3ヶ月以内に一括返済する短期契約が原則でありますが、お客様(質置主)のご要望があればそのご事情を聞いた上で最終弁済日内である事を条件に、入金される月数に合わせて流質期限の延長のご要望に応じます。(利上)
・最終弁済日内であっても、流質期限を経過して質利の支払いを怠った場合は、期限の利益を失います。
・最終弁済日を経過して受戻しがなされない場合は、元金の一部を入金するなどして、その時点の相場にて新規に質取引することが出来ます。
・最終弁済日はお客様(質置主)との合意の上で設定します。
・最終弁済日を経過した後は、上記の対応以外は出来かねますのでご諒承下さい。

質屋は質屋営業法並びに同施行規則に基づいて営業いたします。依って貸金業規制法の適用は受けません。
本質契約内容の説明書と質札及び店頭掲示を合わせて、質取引契約の約款と致します。




70〜80年代国産ギターの再評価

 近年、1970〜1980年代に製造されたギターを再評価する声が高まっています。オリジナルな製品も発表されていたのですが、現在人気が高まっているのがギブソンやフェンダー、マーチンなどの著名な海外メーカーのギターを模倣したいわゆる「コピーモデル」と呼ばれている物で、当時如何にして一本物に似せるかということにしのぎを削っていた時代であります。ある意味海外メーカーのマネをした「ニセ物」と言えない事はないかもしれません。当時存在していたメーカーとしては、エレキギターではグレコ、トーカイ、フェルナンデス、アリアプロー、などアコースティックギターではモーリス、ヤマハ、Sヤイリ、Kヤイリ、が主だったところで、またかなりのメーカーが乱立状態になっていました。
 人気を呼んでいる要因としては
  1. 当時学生だったため購入できなかった世代のノスタルジーによるもの。
    今現在の流行がヴィンテージギターブームという事が大きく、要するに古い製品が人気有りますっていうことで、20〜30年前の目本製に対しても同様の事になっているという現在の状況です。当時の価格ラインナツプは廉価版の2〜3万円クラスから20万円クラスの高級機まで存在していたのですが、当然学生の身分では10万円を超える物はなかなか手が出なかったハズであって、杜会人となりある程度お金が使えるようになったところで、現在に至り中古楽器を扱うようなお店も増えてきて中古品として出まわるようになったこれらのギターを購入するようになったなんていう事が考えられます。また、この辺が嵩じて「マニア化」してしまう人もおり、インターネットのホームページを開設してしまっている人もいますので興味のある方はのぞいてみてはいかがでしょう。
  2. .もう二十〜三十年も前に製造されたため現存する数が少なく、希少性がある。
    もう二〇〜三〇年も前に製造されたものだけになかなか楽器として状態が良いものは多くは無いようです。押入れに長いこと入れっぱなしで、その間に故障を起こしてしまったり、「木」で出来ている物のため保存状態によっては狂いを生じたりして修理が難しい状態になっているものも見うけられます。また、人気がある高級機はけっして製作本数が多かったわけではないのでなかなかお目に掛かれることは少ないです。
  3. 現在ではギターには使えなくなってしまった木材が使われていたりする。
    例として有名なところではワシントン条約で禁輸措置がとられたハカランダ(ブラジリアン・口ーズウッド)が、当時はまだ禁輸措置など取られてなかったため使われているギターがあります。ちなみに「ローズウッド」とは「薔薇の木」のことではなくて木の香りが薔薇の花の香りに似ている事から呼ばれるようになったそうで、この木はアコースティックギターの胴の部分に良く使われています。また、現在でもギターに使われている木材でも70〜80年代に使われている物の方が良いものを使っているというお話もあったりしてこの辺はマニアが喜ぶところです。
  4. ある意味「本家」を超えてしまったようなスゴイ楽器も存在する。
    1970〜1980年当時製造されていたギブソンやフエンダーのギターの品質がかなり落ちていたこともあって、その当時の目本製ギターはコピーモデル戦争に明け暮れ採算度外視ともいえるような品質の高い楽器を作っていたため目本製の方が作りも良く、肝心の音質も本家顔負けのものがあったようです。ただし、私見ではありますが古い国産ギターすべてが良いとということは決して無く、「良いものも有るけどそうでないものもある」というのが現実だと思っています。人気の発端は最近になって国内外のミュージシャンが70〜80年代の目本製ギターを実際に使い始め雑誌等で絶賛したことが大きいのではないかと思います。

 さて、これら1970〜1980年代製国産ギターの中古楽器として価格の面から考えてみますとやっぱり人気が上がっているためか高騰しているように思います。あるメーカーが作ったギブソンのレスポールのコピーモデルに対しては海外のバイヤーが日本まで買い付けに来たりするそうです。実際、中古楽器屋さんの価格では、メーカーによって差異がありますが、少し打ちキズがあるような程度でも当時の定価に対して半額強のお値段が付いてたりしますし、美品なら定価と同等もしくはそれ以上のプレミア価格が付いているものも存在します。
 本家のものより安い値段で買えるのが魅カだったはずの国産のギターですが、今となっては本家のギターより高くなってしまっている場合もあるというなんとも不条理なことになっているのです。果たしてこのような状況が続くのか、一過性の物なのか注意深く見ていこうと思っています。

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